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早期審査制度

 早期審査制度とは、一定の要件の下、出願人からの申請を受けて審査を通常に比べて早く行う制度です。この制度を活用することにより、早期の権利化を図ることができます。

 この制度は特許出願、意匠登録出願、商標登録出願のそれぞれについて設けられています。各出願について適用される要件が異なります。

 以下に、各出願における制度の概要をご説明します。

  1. 特許出願の早期審査制度およびベンチャー企業支援制度

 

 (1)早期審査制度

   ① 早期審査制度が適用されるための主な要件は以下のとおりです。

    (a)早期審査制度の対象となる出願(以下のいずれかの出願)であること

      ⅰ) 出願人ないし実施許諾を受けた者がその発明を実施しているか実施予定の特許出願

      ⅱ) 中小企業、個人、大学、公的研究機関等の出願

      ⅲ) その他の出願

    (b) 出願審査請求がなされていること

    (c)「早期審査に関する事情説明書」を提出すること

    通常の審査期間は、2018年実績で平均9.3か月です。一方、早期審査制度を活用した特許出願の審査期間

     は、2018年実績で平均2.3か月です(特許行政年次報告書2019年版より)。なお、最終処分までは5.3か月

     程度です。

 (2)ベンチャー企業対応面接活用早期審査制度

    第四次産業革命が進展する中、新たな技術開発を行い、市場を開拓する段階にあるベンチャー企業は、大企

   業・中堅企業と連携してオープンイノベーションをけん引する役割を担う者として期待されていることに鑑み、

   2018年7月9日から、特許審査に関するベンチャー企業支援策として、「ベンチャー企業対応面接活用早期審査

   制度」の運用が開始されました。

    この制度を活用することにより、戦略的な特許権の取得を可能とし、また、早期審査のスピードで対応される

   ため、早期に質の高い特許権を取得することが可能となります。

   面接内容

      出願人が事業における出願の位置付けを説明し、一方、審査官は拒絶理由があれば概要を説明し、拒絶理

     由を解消するために、出願人のとり得る対応を示すことができる場合は、補正、分割等を示唆するといった

     内容となります。

   ② ベンチャー企業対応面接活用早期審査制度が適用されるための主な要件は以下のとおりです。

    (a)ベンチャー企業(個人事業主も含まれます)による出願であること

    (b)出願人ないし実施許諾を受けた者がその発明を実施しているか実施予定の出願であること

    (c)出願審査請求がなされていること

    (d)「早期審査に関する事情説明書」を提出すること

 (3)ベンチャー企業対応スーパー早期審査制度

    「ベンチャー企業対応面接活用早期審査制度」と同様の趣旨により、2018年7月9日から、「ベンチャー企業

   対応スーパー早期審査制度」の運用が開始されました。この制度を活用することにより、何よりも早く権利を取

   得したいというニーズにこたえることが可能となります。

   ① ベンチャー企業対応スーパー早期審査制度が適用されるための主な要件は以下のとおりです。

    (a)ベンチャー企業(個人事業主も含まれます)による出願であること

    (b)出願人ないし実施許諾を受けた者がその発明を実施しているか実施予定の出願であること

    (c)出願審査請求がなされていること

    (d)審査官による拒絶理由通知などの通知等が到達する前であること

    (e)申請前の手続をオンライン手続で行っていること

    f)「早期審査に関する事情説明書」を提出すること

   ② 申請件数などの諸事情により変動はあるものの、審査期間は0.7か月程度、最終処分までの期間は2.5か月

     度が目安です。なお、「ベンチャー企業対応面接活用早期審査制度」との併用はできません。

 ※詳しい内容は下記のボックスをクリックして特許庁のウェブページを参照してください。

2.意匠登録出願の早期審査制度

 

 (1)早期審査制度が適用されるための主な要件は以下のとおりです。

    出願人または実施許諾を受けた者が、その出願の意匠を実施しているかまたは実施の準備を相当程度進めて

     いる出願

   ② 以下のいずれかに該当し、権利化について緊急性を要するものであること

    (a)第三者が許諾なく、出願の意匠もしくは類似する意匠を実施しているかまたは実施の準備を相当程度進

       めていることが明らかな場合

    (b)その出願の意匠の実施行為または実施準備行為について、第三者から警告を受けている場合

    (c)その出願の意匠について、第三者から実施許諾を求められている場合 

   ③「早期審査に関する事情説明書」を提出すること

 (2)通常の審査期間は、2018年実績で平均6.1か月です。一方、早期審査制度を活用した意匠登録出願の審査期間

     は、2018年実績で平均2.0か月です(特許行政年次報告書2019年版より)。

 ※詳しい内容は下記のボックスをクリックして特許庁のウェブページを参照してください。

3.商標登録出願の早期審査制度

 

 (1)早期審査制度が適用されるための主な要件は以下のとおりです。

   ① 以下の⒜~⒞のいずれかの出願であること

    ⒜ 出願人または使用許諾を受けた者が、出願商標を指定商品もしくは指定役務に使用している又は使用の準

      備を相当程度進めていて、かつ、権利化について緊急性を要する出願(下記のいずれかの出願)

     ⅰ) 出願商標について、第三者が無断で使用している又は使用の準備を相当程度進めている場合

     ⅱ) 出願商標の使用について、第三者から警告を受けている場合

     ⅲ) 出願商標について、第三者から使用許諾を求められている場合

     ⅳ) 外国関連出願または国際登録出願の基礎出願である場合

    ⒝ 出願人または使用許諾を受けた者が、指定商品もしくは指定役務のすべてに出願商標を使用している又は

      使用の準備を相当程度進めている場合

    ⒞ 出願人または使用許諾を受けた者が、出願商標を指定商品もしくは指定役務に既に使用している又は使用

      の準備を相当程度進めていて、かつ、「類似商品・役務審査基準」等に掲載されている商品・役務のみを

      指定している出願

   「早期審査に関する事情説明書」を提出すること

 (2)通常の審査期間は、2018年実績で平均7.6か月です。一方、早期審査制度を活用した商標登録出願の審査期間

     は、2018年実績で平均1.7か月です(特許行政年次報告書2019年版より)。

 ※詳しい内容は下記のボックスをクリックして特許庁のウェブページを参照してください。

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